子ども時代の教育で人は決まるのか?

安城、岡崎と二件続けて愛知県で講演&ワークショップをさせていただきました。

二件とも、小学生の子を持つ親御さん向けのイベントです。
「子どもが楽しく勉強するには、親として何をすればよいのか?」というのが
大枠のテーマでした。

小学生向けと言いながら、実際は1〜2歳のお父さんお母さんから中学生の参加があり
子どもの教育に対する関心の深さが伺えます。

さて、子どもにはよい教育を与えたいと考えている
教育熱心なお父さんお母さんは多いのですが、
子ども時代の教育とは、結局の所その子にの将来に対して
どの程度影響があるのでしょうか?

教育関係の仕事をしている身で言うと自己矛盾するようですが、
私は「教育で人は決まらない」と考えています。

いわゆる崇高な教育者ほど、教育の目的に掲げるのは「知識・技術の習得」ではなくて
「人間性の完成」や、結果としての「社会的成功」です。
よい教育とは、子どもの人間性を育てて、最終的には社会的な成功をもたらすものとされています。

しかし実際は、
人は、どんな環境で育ったとしても
いつでも、自分の望む人間になることができます。

今の自分は教育や環境のせいではない。

受けた教育によって人生は決まらないのです。

当たり前のように、親や教師は子どもの成長に責任を持つものとされます。
しかし、親や教師が子どもの人生を決める責任はありません。決める能力もありません。

親や教師ができることは、ただ自分が必要だと思うこと、美しいと思うこと、楽しいと思うことを伝えることだけです。
教育とはコミュニケーションであって、コントロールでないのです。

学校は決して「子どもの生き方を矯正する場所」ではありません。
あくまで子ども自身の、自己実現の手段を提供する場所です。

子どもが道に迷っているのであれば、案内してあげてもらいたい。
重い荷物に押しつぶされそうになっているのであれば、大きくなるまでそれを持ってあげてもらいたい。
しかし、進む道を決めて道を歩むのは、必ず子ども自身です。

子どものために良かれと思って、学校に通わせ塾に通わせ宿題をやらせていても、
スタート地点が「親の不安」であると、何をやっても不安が増して行くだけです。
教育熱心なお父さんお母さんには、子ども自身に内在する無限の可能性からスタートして欲しいと思います。

二件とも、そういう想いでの講演だったのですが、伝わったかなぁ。

勉強好きになる唯一の方法

7/28のイベントでは、台風が接近する中、多くの方に参加していただきました。

ここで強調したのは、
「人間は、生まれたときは全員勉強好き」ということです。

子どもはみんな勉強好きなのですが、とあるタイミングで勉強嫌いになってしまうのです。

 

では、一度子どもが勉強嫌いになってしまったら、どうやって勉強好きに戻せばいいのでしょうか?

 

答えは単純です。勉強嫌いになる最大の理由は

「分からない」「できない」からなので、

分かるようになればいい。できるようになればいいのです。

 

当たり前であるし、それができれば苦労しないと思う方も多いでしょう。

しかし、このように吹っ切れないから遠回りをしていまうのです。

 

一般には、

勉強の意義や目的が分かると→勉強好きになって→勉強ができるようになる

と考えられています。

だから、子どもに勉強好きになってもらいたいという親や先生は、勉強の必要性や意義を必死に子どもに説きます。

いかに勉強が将来役に立つかとか、どれだけ科学が社会に貢献しているかとかを説明します。

しかし、現実は反対向きです。

 

勉強ができるようになると→勉強が好きになって→勉強の意義や目的も分かってくる

という方が自然な順番なのです。

 

勉強好きになりたければ、勉強の目的が分かりたければ、まずは目の前の勉強を「できるようにする」「分かるようにする」のが最短の道のりです。

 

イベントでは、勉強を「できるようにする」「分かるようにする」この夏休み最善の行動は何かという話をしました。

 

夏休みに一番必要な勉強は、塾の夏期講習でも自由研究でもありません。

誰でもできるのに誰もやらない勉強方法なのですが、一番必要なのは

一学期のテストの見直しです。

テストの見直しが非常に効率的な勉強方法であるということは、こちらの記事でも書きました

 

一学期のテストを見直すというのは、非常に後ろ向きな行動に見えます。

一学期でた問題は二学期のテストにでませんし、過去より未来を見て生きた方が楽しそうです。

 

しかし、テスト問題で重要なのは問題そのものや知識ではなくて、出題者の意図自分の理解です。

出題者の意図と自分の理解が一致していれば100点がとれますし、ズレていれば点が悪くなります。

出題者の意図は、一学期でも二学期でもそんなに変わりません。一学期に出題者の意図を理解できれば、二学期になっても理解できるのです。

 

何よりも、一学期のテストを見直すことで、確実に「分かること」「できること」が増えます。

増えた分だけ勉強が好きになって、好きになると、勉強の本当の意義や目的も見えてきます。

 

勉強好きになる唯一の方法は、一つでも「分かること」「できること」を増やしていくことなのです。

 

 

「勉強好きの子どもを育てよう」という罠

夏休みに入ったので、

「楽しく勉強する子が勝手に育つ お父さんとお母さんのための賢者の子育て!」

というタイトルでイベントを開催しました。

 

会場を提供してくれたのは六本木のお寺、妙善寺さんです。

なんと、グランドハイアットの隣です。

 

台風が接近しており、開催するか最後まで悩んだのですが、

結果的には多くの方が来てくれました。

 

さて、今回のテーマは「楽しく勉強する子が勝手に育つ」にはどうしたらよいかということなのですが、

実はこのテーマには大きな罠が潜んでいます。

もちろん、それを知りつつわざわざ選んだテーマなのですが。

 

「子どもを勉強好きにするにはどうすればいいか?」

「勉強に対しどのように動機づければいいのか?」

「どうしたら子どもの好奇心が育まれるのか?」

教育熱心なお父さんお母さんはこのようなことを考えます。

素晴らしいことなのですが、実はこれが「反対」なのです。

 

次のグラフは、ベネッセと東大の調査で「勉強が好きでない」と答えた子どもの割合です。

出典:ベネッセ・東大社会科学研究所「子どもの生活と学び」研究プロジェクト 2017

「中学生になると6割が勉強嫌い!大変だ!」という文脈でニュースになった調査ですが、

面白いのは学年を経るごとに「勉強嫌い」が増えていることです。

小学校の段階では勉強嫌いは3割もいないのに、中学生になると6割近くに増えるのです。

このグラフを見る限り、子どもは成長の課程で勉強好きになるわけでなく、学校に通っている間に勉強嫌いになってしまうのです。

「いかに子どもを勉強好きにするか?」よりも

「いかに子どもを勉強嫌いにさせないか?」の方が現実的な問いなのです。

 

もう一つ興味深いのは、小学1年生から3年生までのグラフです。

このグラフで小学1年生から3年生までで色が違うのは、子ども本人でなくて保護者に聞いたデータということです。

小学3年生で勉強嫌いが35.9%、小学4年生で26.7%となっていますが、これは4年生になると突然勉強好きが増えるわけではないでしょう。

おそらく、小学3年生も、子ども本人の自己評価では「勉強嫌い」は4年生と同じ20%から30%と思われます。

親が思っているよりも、子どもたちは「勉強好き」なのです。

 

とすれば、親から見ると勉強嫌いの小学1年生は21%ですが、実際は10%ぐらいなのではないでしょうか。

そして、このペースで行けば、3歳ぐらいの時点では勉強嫌いはほぼ0。ほぼ全員が勉強好きということになります。

そう、人間は生まれたときは全員が勉強好きなのです

 

ではなぜ勉強好きで生まれた子ども達は、だんだん勉強嫌いになってしまうのでしょうか?

イベントで紹介した、子どもが勉強嫌いになる3大理由は次の通りです。

 

1.できないから。分からないから。

勉強嫌いになる最初にして最大の理由はこれです。

基本的に、勉強が楽しい理由は好奇心と達成欲が満たされるからです。

しかし、できないわからないと好奇心も達成欲も満たされません。楽しい理由がなくなってしまうのです。

勉強が好きになると→たくさん勉強して勉強ができるようになる。成績が上がる。

と考えている人が多いのですが、実際は反対向きです。

勉強ができると、分かると→勉強が好きになるのです。

 

2.勉強はつらいもの、つまらないものだと教えられる

「勉強っておもしろい」

「テストが楽しみ」

こんなことを言いだすと、変なやつだと思われます。日本の社会ではなぜか、

「勉強はつらいものであるべきで、楽しくあってはならない」と教えられます。

生まれたときには楽しく感じていた勉強も、社会や学校で「つまらないものだ」と教育されてしまうのです。

 

3.勉強嫌いを作り出す魔法の言葉。「将来役に立つからね」

子どものためを思ってかけるこの言葉に、危険が潜んでいます。

まずは「勉強が役に立つ」かというと、概ね小学生で習うことについては正しいのですが、中学生以降から現実からの乖離が始まります。

ひらがなを習うとすぐに手紙を書けるようになるし、小数の掛け算ができると消費税の計算ができて役に立つのですが、中学生で習う二次関数を役に立てる場所はなかなかありません。

もちろん、二次関数がないと携帯電話も自動車も作れないし天気予報もできないので、ものすごく人類の役に立っているのですが、実際に二次関数を役立てている人は数%しかいないでしょう。

つまり、勉強したことが役に立つ可能性は数%ということです。

中学生以降、勉強嫌いが増える理由はここにもあります。実際は役に立たない事を「役に立つ」と教えられると、勉強は嫌いになり大人を信用しなくなります。

そして「将来」という言葉。

大人からみれば勉強する目的は将来のためなのですが、本来勉強が楽しいのは「できた瞬間」「わかった瞬間」です。

その楽しい瞬間を、将来に先延ばししなさいと言われるのです。

せっかく今勉強を楽しもうとしていても、それを許してくれないのです。

 

これら3つの理由で、子どもは勉強嫌いになります。

そしてそのうち2つは、完全に大人に責任があります。「勉強を楽しむな!」と教え込む大人たちです。

それななのに、「勉強を好きになりなさい」と言い出すのはまさにマッチポンプ。

わざわざ勉強嫌いにさせておいてそれはないでしょう、と子どもたちは思っているはずです。

 

さて、このように生まれたときは全員勉強好きである子どもたちですが、とあるタイミングで勉強嫌いになってしまうことがあります。

では一度勉強嫌いになってしまったら、どのように勉強好きに戻ればよいのでしょうか?

イベントではこの点についてもお話したのでまた記事にしますね。

出版しました【賢者の勉強技術 〜短時間で成果を上げる「楽しく学ぶ子」の育て方〜】

ブログの記事が、パワーアップして本になりました。

———–
賢者=「最短時間で楽しく最大の成果」を得る者
愚者=「努力は苦労」と履き違えている者

勉強はシンプルだった。
先生の本音を知れば、効率的で楽しい勉強技術は身につけられる。
教師家庭に育ったからわかった“勉強の本質”とは。
———–

「うちの子はゲームばかりで、勉強しなくて…」
「つらくても勉強すれば将来必ず役に立つのに…」
「かと言って、勉強ばかりのガリ勉にはなって欲しくないし」
「無理やり勉強させたらグレるかも?」
「うちの子はいつから塾に通わせたらいいの?」
「中学受験はさせるべき?」

上記のような悩みを持つ方に伝えたい、塾には一切行かずに、半年の受験準備で東大(理I)に現役合格した著者が構築した勉強技術とは。

教育はシンプルです。もしも教育が複雑に見えるなら、それは教育の見方に誤解があります。

教育がシンプルな理由

1.「効率的な勉強方法」は存在するから
2.「楽しい勉強方法」も存在するから
3.わが子の教育に責任を持っているのは親「ではない」から

勉強しているように見えないのに成績がよく、たいして苦労せず受験に受かる子たちは人並み外れた頭脳を持っているわけではなく、これらの勉強方法を実行しているからです。本書では、子どもがみるみる勉強して成果を上げる――そんな教育の真実をお話ししていきます。

 

目次

はじめに

第1章 学校という現場――先生の本音を知れば、子どもの努力をムダにせずに済む

■ 宿題で学力は伸びない
■ 宿題を10分で終えると怒られる
■ 先生のお気に入りは成績がよい?
■ テストは味方
■ テスト問題の予想は実力勝負
■ 勉強量ではなく勉強効率を上げなくてはならないワケ

■ 「努力」と「苦労」は別物です

第2章 主体性の正体――勝手に伸びる子を育てる秘訣は子どもの立場を知ること

■ 大人と子どもは生きている時間が違う
■ 子どもの成長に合わせて親の接し方を変える
■ なぜうちの子はゲームばかりして勉強しないのか?
■ 子どもは勉強が嫌いというのは本当か?
■ 勉強嫌いを育ててしまう「将来のため」という言葉
■ 「勉強させるには興味を持たせる」ことの罠
■ 勉強のやる気が出ないのは、勉強の仕方がわからないから

■ やりがいが生まれるのは、自分が立てた目標

第3章 最強の勉強技術――最短時間で最大の成果を上げる効率的な勉強法

■ 勉強とは暗記ゲームではなくてコミュニケーションである
■ 単純だが効果が高い「先生の話を聴く」こと
■ 塾に成績を上げる効果はない
■ 「親の年収と子どもの学力は比例する」!?
■ 偏差値を上げると受験に落ちる!?
■ 答え合わせは勉強の8割!
■ 高速で実力が上がる、答え合わせの五原則
■ デジ タル教材の効果が 薄い本当の理由
■ 学校の成績を上げるためのベスト勉強タイミング
■ 最強のノート術は「板書丸写し」
■ 劇的に勉強観が変わる「出題」の練習
■ どうやって「憶えるのか?」ではなくて、どうやって「憶えないか?」
■ 予習は不要

■ 5分で終わる効果的な復習

第4章 親にできるサポート――子どものやる気を引き出す声のかけ方

■ 勉強において、叱る場面は存在しない
■ 必ず成果が 出る目標の立て方
■ ペーパーテストの点数だけを目指していいのか? その通りです。
■ 子どもの将来を思うほど、目先のことに集中させる
■ 夢が現実になる「目標のブレイクダ ウン」という技
■ 立ててはいけない五つの目標
■ すぐに褒める。こまめに褒める。いちいち褒める。
■ ご褒美作戦の効果が薄い理由
■ 先生が嫌いという目標 先生が好きという目標
■ 教材を箱にしまうと成績が上がる!?

■ 東大生の不思議な分布

第5章 「勉強」の本質――子どもに手にしてもらいたい自立と自由

■ 学歴で手に入るのは、成功で も安定で もなく自由と可能性
■ 中学受験をどう考えるか? 中高一貫校に行くと成績が下がるというデータ
■ 高校受験できないことの知られざるデメリット
■ 中学受験は日本最難関のテスト
■ 浪人リスクをどう考えるか? 中学受験の分岐点
■ 目隠しで大学受験をしないために
■ 結局、中学受験のメリットは何なのか
■ 酢豚ゴルフ論争に隠された本当の「学力」
■ ついにわかった「勉強」の正体
おわりに――父と母へ

デジタル教材の、やってはいけない共通点

iPadなどのタブレット端末が普及し、学校でもデジタル教科書の取扱が話題になっています。

家庭用にもさまざまなデジタル教材、アプリが出ていますがこれらはどれぐらい有用なのでしょうか?

 

デジタルだと音や映像が出て分かりやすそうですし、

子供も喜んで使うので良さそうですね。

 

・・・・が、実は

私の手元にはデジタル教材の効果に否定的なデータが集まってきています。

 

まず、ディスプレイより紙の方が注意力理解力が高まるということ。

いろいろな実験がありますし、その理由は諸説あるのですが

どうやら、ディスプレイの透過光だと脳が受動的になり、

紙の反射光だと脳が能動的になるというのが有力な説のようです。

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※画像引用元 カッシーのWebる。なぜ印刷したほうがミスに気づきやすいのか?透過光と反射光の使い分け。

 

実体験でも納得できることがあり、

例えばプログラマーのようなパソコンに精通して使いこなしている人でも

熟読すべき資料はわざわざプリントアウトしてから読みますし、

CGデザイナーでも紙に下書きをしてからデジタルで仕上げる人がたくさんいます。

このあたりはまだ研究途中とは言え、「紙」には何か秘密がありそうです。

 

また、友人の学習塾で、英語の単語を憶えるのに

紙の単語帳と任天堂DSの単語ソフトでどちらが成績に貢献するのか

効果測定を行ったそうです。

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結果は、DSの負け。

生徒のやる気は、むしろDSの方が勝っていたそうですが、それが結果には結びつかなかったようです。

 

これを聞いて、私はいくつかのデジタル教材やアプリを分析して

何がいけなかったのか調査してみました。

すると、デジタル教材には、とあるやっては「いけない共通点」があったのです

 

音や映像が出てくるのは、やはり紙ではできない大きなメリットですね。

英語はネイティブの発音がぜひ欲しいですし、

理科や算数数学の複雑な説明も

映像だと分かりやすくなることがあります。

 

ただ、それだけではカセットテープやビデオテープの時代と変わらないので

デジタル時代ならではの目玉機能をつけないと

 

・・・と、これらの教材の開発者は考えたのでしょう。

つけてはいけない機能をつけてしまいました。

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それは、自動採点機能

 

コンピュータが自動で丸をつけてくれたり

得点計算をしてくれたり

最近では、AIが苦手分野を特定して解くべき問題を自動で選んでくれたりします。

 

コンピュータの方が採点が正確ですし

答えてから即、正解不正解が分かって子供は楽しそうなので

よい機能に見えますが、

これは成績を下げる方向に働きます

 

答え合わせ能力の低い小学校低学年であれば

ある程度有用なのかもしれませんが、

そもそもこの「答え合わせ能力」は、伸ばす必要がある能力です。

 

まず自分の回答と正答例を見比べて、採点基準を考えて正誤判断をすること。

もし間違えていたら、間違えた理由を分析して改善につなげること。

問題を読み違えたのか、知識が不足していたのか、

計算ミスなのか、回答形式が違うのか・・・etc

それを防ぐにはどうすればいいのか。

このサイクルがいわゆる成績アップにつながるのであって、

答え合わせ中がもっとも勉強が身につく時間と言っても過言ではありません。

 

自動採点では、この一番勉強が身につく時間を奪ってしまうのです。

 

また、テストで高得点を取ろうとすると自分の回答を「見直し」することが必須になりますが

自動採点では見直しする時間もとられなくなります。

テストに弱くなっていくわけですね。

 

苦手分野の特定も、機械的に行うのは危険な場合があります。

例えば、理科の電流で正答率が低い原因は

電流の理解度が低いのではなくて

少数の割り算が苦手なのかもしれません。

 

今回は、別にデジタル教材をディスるわけではないのですが

「答え合わせ」「丸つけ」は非常に大事な勉強のプロセスですよ、という話でした。

塾に通うと学校の成績は上がるのか?

え、あたりまえですよね。成績を上げるために塾に通っているのですから・・・

けれど、それは本当に正しいのでしょうか?

 

まず最初に白状しますと、私は学習塾や予備校に通ったことがありません。

学習塾や予備校がいかなるものか知ったのは、大学生になって塾講師等のアルバイトを始めてからです。

通わなかった理由は、ある考えがあったからです。

 

塾に通ってる奴に成績で負けるわけはない

 

これは小学校時代からですが、塾なんかに通ったら成績が下がると思っていたのです。

今思えば極端な考えですね。

が、かなりの部分正しい考えだったことを大きくなってから確信しました。

 

まず、学校の成績はいかにして決まるか検証していきましょう。

成績の付き方は、地域や学校・学年によって、5段階であったり10段階であったり、絶対評価や相対評価であったりしますが、揺るぎない共通点があります。

それは、学校の成績は学校の先生がつける。ということ。

塾の先生や文部科学省の役人がつけることはありません。

 

次に、学校の先生はどのように成績をつけるかというと、ほぼ間違いなく学校のテストによって決めます。わずかに、課題提出率等の指標も併用することがあります。

「ペーパーテストでは測れない生徒の意欲や個性を評価しよう!」みたいな教育論はありますが、実際の教育現場では、先生の主観をなるべく排除する客観的なペーパーテストで成績がつきます。じゃないと、保護者のクレームに対応できないからです。

「テストでクラス1番なのになぜ通知表が3なんだ!」というクレームに対して、客観的な根拠をだせればいいのですが、「授業中にぼんやりしていることが多いので・・・」という返事だと保護者は収まりませんよね。「お前はうちの子の何を見てるんだ!」と言いたくなります。

先生のお気に入りはテストの点数にいい成績がつくという噂もありますが、同じぐらいの点数でどちらかを4、どちらかを3にしないといけない場合など、最後の最後で影響があるぐらいでしょう。これも、保護者のクレームに対応できなくなるからです。

ここでのポイントは、成績はテストの点数で決まるものであって、勉強時間は評価の対象外であるということです。授業態度すら成績に関わるか曖昧なのに、自宅や塾での学習状況を評価に加える先生は絶対にいません。

 

さて、次に考えるべきは、成績を決める学校のテスト問題を作るのは誰か?どのように作られるか?ということです。

もちろん、学校のテスト問題を作っているのは学校の先生です。どのように作るかは、自作したり教科書から採ってきたり市販の問題集を使ったりといくつかパターンが有りますが、ほぼ間違いない共通点は授業中に教えたところから問題を出すということ。授業中にやっていないような応用問題はせいぜい1割程度に抑えるのが普通です。

勘違いされがちですが、多くの学校の先生は生徒に間違えさせようとはしていません。点数を取らせたいと思って問題を作っています。

だからテスト範囲は「教科書○ページから○ページ」みたいに明示しますし、重要ポイントは授業中にしゃべります。

さらに言えば、学校の先生も人間として「自分の話しを聴いてもらいたい」という欲求があるので、自分の話しを聴いていた子にいい成績を取ってもらいたいと思っており、授業をしっかり聴いていた子が点数をとれるように問題を作りがちです。

つまりは、学校の成績というのはほぼ間違いなく、学校の授業をどれだけしっかり聴いて理解しているかによって決まってくるのです。

 

こう考えると、塾のデメリットが浮かび上がってきます。

まずは、進度が必ずしも学校と一致しないこと。学校の算数で「速さ」が出てきてそれでいっぱいいっぱいなのに、さらに塾で「直方体の体積」が始まったら、与えられた情報が多すぎて処理できなくなる可能性があります。むしろ、これらを同時に処理できるのはかなり算数が得意で優秀な子と言えます。算数が苦手な子にはつらいでしょう。

「算数が苦手だから塾に通わせよう」と思ったのに、逆効果になることがあるのです。

 

また、先生によって重要視するポイントが違うことがあります。

例えば、学校の先生は思考プロセスを重要視して、塾の先生は回答スピードを重要視しているような場合。

どちらが正しいということはないのですが、同じような問題でも「塾で教えてもらった解法が学校のテストで使えない」ということがよく起こります。このような場合、一所懸命に勉強したのに結果がでないことになりますね。

 

冒頭の、小学生の私が「塾に通ってる奴に成績で負けるわけはない」と考えた理由はこのあたりにあります。学校の成績アップのみを考えた場合、塾で得られるの不必要な情報は単なるノイズであってむしろ悪影響を与える可能性があります。

その意味では、毎日塾に通うのも毎日ポケモンするのも本質的には変わりません。成績につながらない努力は、やっぱり成績につながらないのです。

 

あ、決して「塾に行くな」と主張している訳ではありませんよ。

受験を考えた場合は話が逆になり、学校の授業だけでは対応できません。

すっかり学校についていけなくなり、抜本的な対策がな場合も有用かもしれません。

「学校の成績を上げるために(目的)」「塾に行こう(手段)」と思ったとき、本当にその目的に対し手段が有効か考えてみましょうという話でした。

何故うちの子はゲームばかりしていて勉強しないのか?と思った時に読む話

「なんでうちの子はゲームばかりしていて勉強しないの?」

世の中のお母さんが非常によくする質問です。

ゲームを取り上げようとか、将来への目標を持たせようとか、色々対策を考えます。

 

でも対策を考える前に、この質問に答えましょう。

実は、非常に明確な答えがあるのです。

 

あるゲーム開発者がこの質問に答えていました。

「お母さんは子供をしかるのに必死になっていませんか?私たちは褒めるのに必死なんです。」

 

そう、ゲームの中では細かく褒められ、ご褒美がもらえます。

敵を一匹倒すごとにお金がもらえるし、新しい街にたどり着けば新しいアイテムが手に入ります。

戦いを繰り返すと自分が強くなり、長い洞窟をクリアする頃には見違えるようになっています。

最近のスマホゲームでは、なんと一日一回ログインするだけでボーナスが貰えます。

 

ゲーム開発者は、こうやって手を変え品を変え、プレイヤーを褒めるのに必死なのです。

 

一方、

「問題を一問解いたんだ!えらい!」

「今日教科書を開いたんだ!すごいね!」

と褒める親はまずいません。

 

代わりに

「学校の宿題は終わったの?」

「またこんな点数をとって!」

と叱るのに一生懸命。

 

ゲームと勉強、どちらを好きになるかこれは明らかです。

 

「なんでうちの子はゲームばかりしていて勉強しないの?」と思ったら

まずは褒めるのに必死になってみませんか。

 

褒める場合のコツは、ゲームにならって

いちいち褒める

ということです。

机についたら褒める、1問解いたら褒める、1行書いたら褒める、1ページ進んだら褒める。

成績が良かったら褒める、成績がいまいちでも褒める。

 

最近のゲームでは、ステージクリアできなくても、罰則がある(怒られる)ことはまずありません。

例え成績が良くなくても、それなりにご褒美がもらえることが多いです。

 

この「いちいち褒める」というコツは、子供が小さいほど、現状勉強ができないほど有効です。中学生高校生ぐらいになったり、ある程度勉強ができるようになってくると

「こんなことでいちいち褒めるなんて、バカにしてるの?」という反応が返ってくるかもしれません。

そのときは、子供の成長を喜びましょう!