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「コミュニケーション能力」と「受験勉強」の意外な接点

 2019/03/31 受験 書籍
この記事は約 6 分で読めます。 97 Views

「コミュニケーション能力」の謎

「コミュニケーション力が重要」とは良く聞く言葉です。

企業の新卒採用では必ず「コミュニケーション能力を重視する」と言われます。今回はグローバルリーダーを目指す高校生達に話をしてきたのですが、グローバルリーダーの条件にも上位項目として挙げられます。

でも、「コミュニケーション力」って結局何なんでしょう?

この質問について具体的に答えられる人は非常に少ないです。けれどもなんとなく、「コミュニケーション力が大事」「コミュニケーション能力を育てよう」と言っているのです。

このコミュニケーション力とは何なのか?そしてなぜ「コミュニケーション」と無関係そうに見える「受験勉強」と関係があるのか?これを後輩である高校生達に紹介してきました。

次の画像は、そのプレゼンテーションで使ったスライドの1枚です。

コミュニケーションの因数分解

まず整理したいのは、コミュニケーション力とは、「受け取る力」と「伝える力」でできているということです。

「受け取る力」とは、話を聴いたり文章を読んだり空気を読んだりする力のこと。

相手の伝えたいことを受け取ってあげる力のこと。

「伝える力」とは、喋ったり文章を書いたり絵を描いたり歌ったりして自分の想いを相手に伝える力のことです。

ここで忘れられがちなのが、「受け取る力」の方です。

本当はどちらも同じぐらい大切なのですが、どうも他人に自分の意見を伝える能力こそがコミュニケーション力だと思っている人が多いのですよね。

ビジネスの世界では、「伝える力を鍛えましょう」とはよく言われます。そのためのセミナーや本もたくさんあります。パワーポイントの使い方とか、上手なスピーチの喋り方とか。

『伝え方が9割』という本はベストセラーになりました。

ところが、「受け取る力を鍛えましょう」とはなかなか言われません

ここで重大な問題が生まれます。本当は「受け取る力」と「伝える力」でコミュニケーションの両輪なのに、「伝える力」だけの方輪走行でエンジンをふかそうとする人が多いのです。

片方の車輪だけではまっすぐ走れないように、「伝える」一方ではコミュニケーションが明後日の方向に暴走してしまうのです。自分の話を聞かずに一方的にまくしたてる相手とは話をしたくないですよね?

私が敬愛するスティーブン・R・コヴィー著『7つの習慣』でも述べられていますが、相手に理解されるのは、自分が相手を理解してからなのです。

暴走する受験勉強

片輪コミュニケーションと同じように、明後日の方向暴走してしまいがちなのが受験勉強です。

受験勉強を「知識の暗記」だとか「解法の練習」だと思ってしまうと勉強はムチャクチャ非効率になります。

どれだけ時間をかけて必死に勉強しようと、まっすぐ進まない車ではいつまでたってもゴールに辿り着きません。どんな苦労も報われないのです。

このブログや、拙著『賢者の勉強技術〜短時間で成果を上げる「楽しく学ぶ子」の育て方〜』で何度も強調しているように、勉強の本質とは「他社理解」です。受験勉強で言えば、出題者が発しているメッセージをいかに受け取ってあげるかということです。

例として、東大入試2019年度の現代文を見てみましょう。

東大入試問題(2019年)国語第1問

(一)(傍線部ア)とはどういうことか、説明せよ。
(二)(傍線部イ)とはどういうことか、説明せよ。
(三)(傍線部ウ)とはどういうことか、説明せよ。
(四)(傍線部エ)とはどういうことか、説明せよ。
(五)漢字を楷書で書け
   a コウケン b ダイタイ  c サイキン

なんとビックリ!東大の現代文は全部同じ設問なのです。

傍線部とはどういうことか、説明せよ。

という1パターンだけ。

実は、私が受験した20年前は設問は3パターンあったのですが、ここ数年は2パターンで安定しており、ついに今年は1パターンになってしまいました。

現代文とは「勉強の仕方が分からない」と言われる教科の筆頭なのですが、東大入試に限れば勉強の仕方は明らかです。「傍線部とはどういうことか、説明せよ」という問題だけ対策すればよいのです。

結局の所、入試問題とは出題者からのメッセージであって東大は「どういうことか説明」できる人材を求めているということです。東大現代文対策はただ一つ、このメッセージに応えればよいだけなのです。

ちなみに(五)の漢字問題は a.貢献 b.代替 c.細菌 が解答です。

最高学府と呼ばれる東大の問題にしては簡単すぎる気がしますね。

ちなみに、漢字問題の配点はひとつ1点と言われています。仮にこの漢字問題を落としたとしても合否に影響することはあまりないでしょう。

おそらく受験者のほとんどが正解するぐらい簡単で、しかも配点が少ないのに果たして出題する意味はあるのか?とも思うのですが、実際は何十年もこのような簡単な漢字が出題されています。

確認できた限りは、30年以上この簡単な漢字問題が出題されています。

この簡単な漢字問題も、東大からのメッセージです。「この程度の漢字は書けて欲しいけど、書けなかったからといって落としはしないよ。」ということを伝えたいのですね。

「受験勉強として漢字問題集を頑張る必要はない。ただし、これぐらいの漢字が出てくる文章は読み慣れておくべきだ」というメッセージを受け取ってあげましょう。

出題者の伝えたいことを理解してあげれば、受験勉強はまっすぐゴールに向かい効率的になるのです。

「受け取る」ことは「敗北」ではない

このように社会でのコミュニケーションでも、受験勉強でも大事な「受け取る力」ですが、忘れられがちになってしまうには理由があります。それは

「相手を理解することは自分の敗北を認めることだ」とい勘違いしてしまうことです。

相手を理解するとは、相手の正しさを認めることで、ひいては自分が間違っていると認めることだと勘違いしてしまうのです。

しかし実際は、相手を理解しても自分が敗北するわけではありません。

孫氏に「彼を知り、己を知れば百戦殆からず」という言葉があります。

孫氏は、仮に戦争で相手をやっつけることが目的であったとしても、まずは相手の理解が必要だと言っているのですね。

相手を理解せずに仲良くなることはできないのはもちろんのこと、相手を理解せずに戦争や論争で勝つこともできません。

相手と自分、どちらが正しくどちらが間違っているかを決めるのは相手を理解してからです。

相手を好きになっても嫌いになってもいいのですが、それは相手を正しく理解してからです。

受験勉強もまずは、出題者のメッセージを受け取ってあげるところからがスタートです。好き嫌い、できるできないを決めるのはその後なのです。

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